認定インストラクターの岡澤です。

 

「訪問したら利用者さんがこんなことになっていた。」

なんてこと、訪問業務をしていると、たまにあることです。

 

 

以前僕が利用者さん宅へ訪問したときのことです。

 

「立っていたら、急に足に力が入らなくなって…」

 

ということで、利用者さんはベッドで横になっていました。

 

 

さぁこんなとき、皆さんはどうされますか?

 

 

「とりあえず様子を見て、いつものメニューをしましょうか。」

…というわけにはいきません。

 

 

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利用者さんは高齢者がほとんど。

しかも既往歴は様々。

 

いつ、どんなタイミングでADLレベルが低下しても不思議ではありません。

 

一時的なレベル低下であれば問題ないのですが、

一時的ではなく、そのレベルが続くことだって充分ありえるのです。

 

 

もし改善しない場合、今までおこなえていたことがおこなえなくなったり、

介助が必要になることになります。

 

おこなえなくなったことを今まで通りおこなおうとした結果、

転倒などの事故につながることもありえます。

 

今まで必要のなかった介助をおこなうことになり、

ご家族が利用者さんに対する態度が厳しくなることもありえます。

 

 

週1~2回しか関われない訪問リハビリですので、

「とりあえず様子を見る期間」を設けることが、

事故や家族関係が悪くなることにつながりかねないのです。

 

 

では実際はどうしたのか。

 

 

まずは今までおこなっていた動作が、

今の状態でどこまでおこなえるのか確認します。

 

具体的には、トイレなどの動線の移動能力の確認です。

 

もし今まで通りおこなえそうでなければ、

今の状態でおこなえる方法をお伝えします。

 

もし介助を要する状態である場合、ご家族にその方法をお伝えします。

その際は今まで通りの動き方ができなくなっていることを説明します。

 

介助できる環境でなければ、

精一杯環境設定して、できるだけひとりでおこなえる方法を模索します。

 

 

担当ケアマネージャーにも連絡します。

動けなくなっていること、

今の状態でもなるべく動けるようにしたアドバイス内容、

もし福祉用品のレンタルを検討するならこんなものを使用するのがいいこと、

身体の状態は戻れば問題ないが、

戻らなければ今まで通りの生活が送れないかもしれないことなどをお伝えします。

 

 

動作の確認をひと通りおこなったうえで、

まだ時間に余裕があるようでしたら、

普段行っているメニューを一部だけおこなってもよいでしょう。

 

ただし動作の確認に要した時間はもちろん算定します。

 

 

今まで通りのメニューをしておかないと、

利用者さんからクレームがでるのではないかと思われる方もいるかもしれません。

 

ではこのふたつ、皆さんはどちらを選びますか?

 

① 訪問リハビリの目的は、普段行っているメニューを実施することである。

②訪問リハビリの目的は、利用者さんの生活をよりよいものとすることである。

 

 

いかがでしょうか?

 

僕は②を選びます。

プログラムはあくまで「手段」です。

目的は利用者さんの生活をよりよいものとすることです。

 

 

この利用者さんの生活をよりよいものへするためには、

動けなくなった状態での過ごし方を確認することが必須です。

 

 

急に生活様式を変えざるをえない状況に置かれた利用者さん・ご家族は混乱します。

 

そこで専門家であるセラピストにこうすれば動ける、

ここは気を付けなければならないというアドバイスを受けていれば、

その混乱は避けることができます。

 

 

週に1~2回しか関われない訪問リハビリだからこそ、

関わるべき機会は逃すわけにはいきません。

 

 

手段と目的、ここを押さえてこそ、

有意義な訪問リハビリとなります。

 

 

お読みいただきありがとうございました。

 

 

IAIR関西支部認定インストラクター

認定理学療法士(地域理学療法部分野)

岡澤 頼宏